入れ歯の種類と特徴

入れ歯には大きく分けて、部分入れ歯と総入れ歯の2種類があります。

部分入れ歯とは、入れ歯を支える歯が1本でも残っている場合の入れ歯になります。総入れ歯は歯が1本も残っていない場合の入れ歯です。

部分入れ歯の特徴

通常の部分入れ歯は3つの構成要素から成り立っています。1つ目は人工歯、2つ目はピンク色の床と言われる部分、3つ目は金属などのバネの部分です。このばねの部分で残っている歯に入れ歯を固定することによって、入れ歯が動かないようにして、食事を可能にしています。

保険の部分義歯

保険診療で作る部分入れ歯は、金属のバネで、入れ歯が動かないようにご自身の歯に定固定されています。歯に固定しているバネですが、食べ物を食べるときにわずかにではありますが上下方向(噛む方向)に動きます。その動きが気にならない方もいらっしゃいますが、失った歯の本数が多い方や、噛む力が強い方などは、入れ歯の動きを感じてよく噛めないと言われたり、ピンク色の床と言われる部分がお口の中の歯ぐきに当たって硬いものは噛めないなどと言われたりします。バネの使用によって残っている歯がゆすられ、歯がぐらぐらになってしまいます。

ノンクラスプデンチャー(バルプラスト、スマイルデンチャーなど)

バネと床の部分を特殊樹脂(ピンク色でかなり薄く作ることができ柔軟性がある素材)で作ることにより、あたかもバネが無いように見える入れ歯。名前のノンクラスプデンチャーから想像されるのはバネが無いということですが、実はバネが無いのではなく、バネが金属ではないのでバネがないように見える入れ歯です。ネーミング的にはメタルフリーデンチャーの方がその実態をよく表しているように思います。バネが金属ではないので目立たなくて審美的にはGOODです。噛み心地はどうかというと金属のバネが特殊樹脂に変わっただけですのでバネ式の入れ歯の欠点はそのままといったところです。また入れ歯の修理などが困難な場合があります。自費診療になります。

ウエルデンツ

こちらもノンクラスプデンチャーと同様に特殊樹脂を使用した入れ歯になります。ウエルデンツのよいところは入れ歯というよりも、取り外しのできるブリッジとして、1~2歯の中間欠損(歯が無い部分が1~2本であり、その前後に歯が残っている場合)の場合は使用することができることです。入れ歯、ブリッジ、インプラントと迷っている患者様が、とりあえず作ってみるのにはよい治療方法ではないかと思います。歯を削らずブリッジができます(取り外し式のものです)。欠点としては寿命が存在する(2~3年程度)ということで、ゆるくなったり、噛み心地が悪くなったりと問題が生じたときには、修理ができず、新しく作り直す必要があります。

ウエルデンツの適用範囲は広くクラウン(1本の歯のかぶせ物)から、ブリッジ、部分入れ歯、総入れ歯までありますが、ウエルデンツの特徴を考え、ほかの種類の入れ歯と比較してお勧めできるのは、上記の1~2歯の中間欠損の取り外し式のブリッジになると考えております。自費診療の入れ歯になります。

一部を金属で作った入れ歯 金属床義歯

自費診療の入れ歯として、広く一般的に行われている金属を併用した入れ歯です。入れ歯の基礎の部分を金属で作ることによって、強度に優れかつ薄く作ることが可能になります。精度を高く作ることも可能ですので、違和感が少なく、食べ物の温度(温かさ、冷たさ)を感じながら、食べ物がおいしく食べられます。バネを使用して入れ歯を維持安定させるので、入れ歯を支える歯に対して無理な力がかかりやすいのは、保険のバネ式の入れ歯と同じです。

コーヌス義歯

支えとなる歯に、二重構造の内冠、入れ歯の方に二重構造の外冠を維持装置として用いた入れ歯です。バネを使用しないため、支えとする歯に負担がかかりにくく、非常に安定している入れ歯です。バネの金属を使用しないため、見た目もよく、よく噛め、入れ歯を支えている歯が長持ちします。内冠を入れるために歯を削ったり、歯の神経をとる治療が必要になります。複雑で精度の高い技工作業が必要になりますので、高額の治療費となります。また、途中で壊れた場合の修理が難しい場合があります。

インプラント+ミラクルデンチャー

歯が1本もない人に対してインプラント治療を行い、歯とミラクルデンチャーを入れる方法です。インプラントの本数は、対合歯(インプラントを入れるのが上顎であれば、下顎に歯が何本残っているか)や、咬合力の強さに応じて決定する必要があり、通常1~4本が必要です。インプラントの手術が必要になりますが、総入れ歯と比較して、各段に患者様の満足度が上がります。