入れ歯に使用されるピンク色の部分(床)について その1

入れ歯のピンク色の部分を何と呼ぶか、皆さん知っていますか?

歯肉に模したピンク色の部分を床(しょう)と言います。

今回は床にはどのような種類のものがあるかを説明していきたいと思います。

一般的な床の素材

一般的な床の素材としてはレジン床があげられます。

レジンとは歯科用プラスチック樹脂(アクリルレジン)のことを言います。ピンク色の部分がアクリルレジンでできたものがレジン床です。

レジン床の特徴としては、ほかの素材に比べて精度がやや劣るといわれていますが、最近ではどのデメリットを克服した素材も出てきています。

保険適応ですので安価に治療することができ、適応範囲も広いです。強度をだすためにある程度の厚みや幅が必要になります。

スルフォン床義歯

次に挙げられるものとしてスルフォン床義歯があります。

スルフォン床義歯は高弾性・高強度なプラスチック(ポリカーボネート)を使用した義歯です。

先にあげたアクリルレジンは粉と液を混ぜ合わせて作るのに対し、ポリカーカーボネートは専用の機械でプラスチックの粒を加熱し、溶かすことによって、入れ歯の型に流し込んで作ります。

ポリカーカーボネートは温度の変化で溶かして固める素材なので、別の言い方として熱可塑性義歯とも呼ばれています。

ポリカーボネートはアクリルレジンに比べて熱に強く、吸水が少ないため臭いも付きにくく、割れにくい入れ歯です。

ここだけ見るとアクリルレジンよりいいことだけに感じますが、欠点もあり、ほかの素材とくっつかないということがあります。

入れ歯の人工歯とは化学結合ではなく、ぴったりはめ込むようにして人工歯を固定しているため、アクリルレジンに比べて人工歯はとれやすいです。

よってピンク色の部分自体が壊れやすいような場合はポリカーボネートを選択し、人工歯やクラスプなどがとれやすいような場合はアクリルレジンのほうを選択するようにし、メリットがデメリットを上回るようにレジン床義歯とスルフォン床義歯を選んでいます。

金属床とは

金属床とはピンク色の床の部分の多くを金属に置き換えたものです。

金属のメリットとしては強度が強いということがあげられます。強度があるので床の部分を薄く作ることができます。床を薄くすることで違和感を和らげます。

また熱の伝導率がよいので、食べ物の温度を感じやすく、おいしく食事ができるというメリットもあげられます。

金属の種類としてはコバルトクロムを使用したコバルトクロム床、チタンを使用したチタン床、白金加金を使用した白金加金床などがあります。

金属の特性としてコバルトクロムは一般的によく使用される金属でコストパフォーマンスに優れています。

またチタンはゴルフクラブに使用されているようにとても軽くて硬いという特性があります。

白金加金は貴金属で金属の安定性が高く加工した時の適合性(フィット感)が高いというような特徴があります。

もともとの金属の特性が金属床にも表れます。