歯周病と入れ歯について

入れ歯が安定しにくい理由の一つとして、歯周病によって歯ぐき(歯肉)の土手(顎堤)がうすくなっていることが挙げられます。
保険適応の入れ歯は、この土手部分に入れ歯をフィトさせるため、土手が薄いと入れ歯も安定しにくくなります。
また、入れ歯が合っていないことで残っている歯に負担がかかってしまい、歯周病に症状になる場合もあります。

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歯周病によって歯を失うと、入れ歯が安定しにくい

歯周病は、細菌の塊である歯垢(プラーク)の慢性的な付着によって歯肉が炎症を起こし、やがて歯を支えている骨(歯槽骨)が溶かされてしまい、最終的には歯が抜けてしまう病気です。
歯周病が原因で歯を失って入れ歯を作成する場合、歯周病によって骨が溶かされ、歯ぐき(歯肉)の土手部分(顎堤)が減っている方が多くみられます。
保険適応の入れ歯は、歯ぐきの土手部分の形状と、入れ歯のピンク色の床(義歯床)を吸着させることで安定を図り、固定させます。
そのため歯ぐきの土手が減っていると、入れ歯がフィットしにくく安定しない原因となります。
歯ぐきの土手部分(顎堤)の減少を防ぐためには、口の中を清潔の保つことが大切になります。
入れ歯と歯ぐきの土手の間に汚れが溜まった状態にしていると、口の中で歯周病菌が繁殖して、歯ぐきの炎症を引き起こしてしまいます。
この状態が続くと、さらに顎の骨が歯周病菌によって減少し、歯ぐきの土手が低くなってしまうため、入れ歯はより安定しにくくなります。
入れ歯と口の中は毎日洗浄し、口の中を清潔に保つようにしましょう。

入れ歯が合っていないと歯周病に似た症状になる

部分入れ歯は、入れ歯を支えるために歯にバネ(クラスプ)をかけます。
入れ歯が合わず、食事中に噛むと入れ歯が動いたり、入れ歯が合っていても、入れ歯の大きさと支える歯のバランスが悪かったりすると、入れ歯のバネがかかっている歯に過度の力がかかってしまい、歯周病に似た症状が出ます。

原因としては3つ考えられます

①入れ歯のバネがかかっている歯が元々弱い

入れ歯のバネには想像以上の力がかかるので、バネをかける歯が元々弱い場合は、更に歯が揺れるなど歯周病に似た症状が出ます。

②入れ歯が合っていない

歯ぐき(歯肉)と合っていない入れ歯は、噛んだ時に必要以上に動いてしまいます。
バネも動いてしまうので、バネがかかっている歯には力がかかります。
また、毎回大きな力がかかっていると正常な歯でも歯周病に似た症状が出る場合もあります。

③入れ歯の大きさとバネの本数のバランスが悪い

部分入れ歯でも大きな入れ歯になると、入れ歯の歯の本数に対し、残っている歯(バネをかける歯)の方が少なくなってしまいます。
このように、入れ歯の大きさと、バネの本数や支える歯のバランスが悪い場合、支えている歯が痛くなってしまったり、歯が揺れてきたりと歯周病に似た症状が出ることがあります。
また、支えている歯の揺れと並行して、歯ぐきが腫れたり、ものを噛むと痛みが出てきたりしてしまいます。