入れ歯と嘔吐反射

嘔吐反射とは

入れ歯を作る、使う、という時の大変さの一つに嘔吐反射という問題があります。
嘔吐反射とはどういうものかというと、口の中ののどの近くに異物の刺激を感じることで、反射的に吐きたくなる反応で、人間だれでも持っている反応です。
何か危険なものが体内に入りそうになったら吐き出すことが必要、ということですね。
嘔吐反射にはこのように物理的な刺激により起こるものと、心因性によるもののと2つあります。

心因性の嘔吐反射とは?

心因性の嘔吐反射とは、トラウマから歯科嫌いになってしまい、歯科医院に行くと緊張、ストレスから嘔吐反射が出やすくなってしまう、というものです。
例えば、
「嘔吐反射がきついことを知ったとたんに先生がムッとした顔で怒ってしまい、冷たくなった」
「もう治療はできないから他の歯科医院をさがしてくださいと言われた」
「がまんして、大人でしょう?と叱られた」
など、もともと嘔吐反射があった方が、怒られることでますます歯科医院での通院、治療にストレスを感じてしまい、さらに嘔吐反射が強く出てしまう、ということもあるようです。

そうなると治療から遠のいてしまい、歯が使えない状態になり、入れ歯が必要なのだけど、入れ歯を入れるのがつらい、という悪循環につながってしまいます。

嘔吐反射の対策は?

では、嘔吐反射がある人が治療を受ける際の対策はどのようなものがあるでしょうか?
1、治療の間、できるだけ別のことを考える。
2、型どりの際にはできるだけ下を向き、ゆっくりと鼻で呼吸をする。
3、腹筋に力を入れる。
4、足を上げる
5、のどもとを軽く指で押さえる。
などがあります。
残念ながら嘔吐反射を全くなくす方法はありませんが、少しでも軽減するよう試してみてはいかがでしょうか。
また歯科を受診する際、あらかじめ嘔吐反射が強いことを伝えていただけると、治療の際、イスを倒しすぎないようにしたり、型どりの材料を通常よりやや硬めに練ることでのどに流れ込むことを防止したり、といった対策も取りやすくなります。
先ほど心因性の嘔吐反射の項目にもあったように、嘔吐反射を伝えたことでいやな思いをした方にとっては、あまり言いたくないことかもしれませんが、他の歯科医院に通院される時には言ってみてください。

入れ歯の形や、種類も何種類かあります

こういったところで、嘔吐反射を和らげたりすることも可能です。

1、保険の入れ歯で口蓋部分を小さくする。
これは噛む力を受け止めきれず割れてしまったり、落ちやすくなる、などの欠点があり、いくらでも小さくできるものではありません。
2、金属床で薄くする。
3、インプラントにする。

2と3については保険がきかない自費治療になります。
ですが、特にインプラントをすると歯ぐきをおおう床の部分が無くなるので、自分の歯と同じ状態を口の中に作ることができます。

このように入れ歯の種類もありますので、通院されている歯科医院の先生と相談して治療を進めていくといいでしょう。